とよさとっこのこうかんにっき

我々が統治する豊里において、誰であろうとこの領域には踏み込むことは許さぬ。ウホウウホウホウホ

はんぺんちくわぶ戦争紀 ~第9話 時計の針ってよく見てるとたまに針が戻るんですね。なんでですの~

 

 

みち子(本当は悪役)は村の預言者の所に居た。

 

 

 

「どういうことですか!あの時、あと5年後に“あること”が起こるって言ってたじゃないですか!」みち子(本当は悪役)は酒焼けした声を荒げる。

 

 

 

「うむ。あの時ワタシ忙しくてな。4年も5年も変わらないかなって思って言っちゃったんだけど、やっぱりまずかったよね。うん。ごめん。」みち子(本当は悪役)の村の預言者 数子はすっぱい顔でみち子(本当は悪役)に謝罪した。

 

 

 

「ってことはもう、“あること”が起きているかもしれないってことですよね?まだ全然準備できていないのに。どうしよう、、、、、、、、。」みち子(本当は悪役)は焦っていた。

 

 

 

「なあなあ、“あること”ってなんだよ。なんかやばい事でも起こるのか?」みち子(本当は悪役)の隣にいたたかしはこの日快便だった。

 

 

 

「、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、。」数子は口にガムテープを貼りだんまりを貫く。

 

 

 

「、、、、、、、、、、数子さん。あの時、私も何度も聞いたけど教えてくれなかった。もう時間が無いんでしょ?私、、、、、、なんか、、、、、、、嫌な予感がするよ。」みち子(本当は悪役)は数子を椅子に座らせ、ロープでぐるぐる巻きにして、自白剤を飲ませようとした。

 

 

 

数子は今日の晩御飯は何にしようか考え、カレーにしようと決めたところで口を開いた。

「ふむ、、、、、、、、、、、、、、、。これは、、、、ワタシの口からは言うことが許されていないから。村長の所に行ってらっしゃい。今ならきっと教えてくれるわ。」

 

 

 

みち子(本当は悪役)とたかしは数子に感謝の意を込めて、たかしの魔法で作った“めがね”を渡してその場を去って行った。

 

 

 

「ふむ。あの子達ならやってくれるかもしれないな。あんなに勇ましい顔をした者を見たのも何年振りかのぅ。」数子はたかしから貰った“めがね”を掛けて、二人の後姿を目に焼き付け、遠い昔の事を思い出していた。

 

 

 

 

▼▼▼

 

 

ビルの一室で5人の男が集まり、ある話が始まろうとしていた。

 

 

 

「さて、これより兼ねてより計画していた“全世界ちくわぶで一つに成ろう計画”の最終確認を行う。」白髪で病弱そうに見える元アナウンサーの男が取り仕切る。

 

 

 

「いきなりすまないが、、、、、、、会議を始める前にこれを見てくれないか。」細身の男が序盤もいいところで会議を遮り、例の本を取り出し、皆に見せる。

 

 

 

「なんだこれは。なぜこれが?前に一つ残らず全て消したはずだが?」筋骨隆々とした男が玉止めをしながら驚いていた。

 

 

 

「ふん、どこからそれが出てきたかは今はどうでもいい。むしろ見つかったことをラッキーだと思うべきだ。あいつらの手に回った後では遅いからな。早くそれを煮るなり焼くなりすればいいだけの話。」巨漢の男がパン一斤をそのまま食べながら、何か味に物足りなそうに言った。

 

 

 

「ああ、その通り。だが、それが出来ないんだ。」細身の男が自らの魔法でその本を消滅させ始めた。

 

 

 

 

が、しかし、本は形を変えることなく元の姿のままだった。

 

 

 

 

中肉中背の男が意を決して離婚届に印鑑を押そうとしたが、

「どういうことだこれは?」と言い、その手を止めた。

 

 

 

「おそらく、この本には、この本が破壊されないように、"ある者"によって“魔法”が掛けられている。、、、、、、、、、、、、、、それも強力な。」細身の男がさらに続ける。

 

「この本の中身、皆も知っているように“零技芽(ぜろぎが)”になってしまった際の“痛心誓言”を解除する“リミッター解除”について記されている。

そしてこの本を読んで分かったことがある。」

 

 

 

皆の視線が細身の男に集まる。

 

 

 

「実は、はんぺん一族は生まれながらに、“痛心誓言”を掛けられているそうなんだ。そのあまりにも強すぎる魔法がゆえに。 そう。今まで消してきたこの本達は実は、、、、遠い昔に"ある者"によってはんぺん一族の為に作られた物、と考えられる。 仮に、はんぺん一族の誰かが“リミッター解除”されたら、またあの悪夢を生むことになる。」

 

 

 

「“技芽盛”(ぎがもり)か、、、、、、、、、、。」元アナウンサーの男が言う。

 

 

 

「そう、皆も名前だけ聞いたことがあるかもしれないが、総帥も昔こう呼ばれる者に辛酸を嘗めたらしい。総帥がおっしゃっていたが、“技芽盛”がまた生まれたらもう我々に打つ手は残されていないみたいだ。」

 

 

 

ガチャ

 

 

ドアが開き総帥が入ってきた。

 

「皆、集まっているかな?」総帥が青汁を両手に目を輝かせて言う。

 

 

 

「は!“5G”(ファイブジー)参上奉りましたぁ!」語尾が上がり気味で元アナウンサーが代表して言う。

 

 

 

「、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、皆、力が欲しいかね?」総帥は青汁を見つめながら、不敵な笑みを浮かべ5人を見た。

 

 

▼▼▼

 

 

「世界征服って、、、、、目的俺と同じじゃん。てかそんなんマジで目論むやついるんだな。」たかしとみち子(本当は悪役)は村長の話を聞き終えて二人で話していた。

 

 

 

「世界征服ねぇ。でもどんな奴らが企んでるんだか、そこが分からないんだよね。」みち子(本当は悪役)はスパークリング青汁ドリンクをストローで飲みながら言った。

 

 

 

すると後ろから声が聞こえた。

 

 

 

「おい、その話本当か。俺のもその話詳しく聞かせてくれよ。」

 

 

 

そこにはボロボロの黒フードを被った男、わたるが立っていた。

 

 

 

つづく