とよさとっこのこうかんにっき

我々が統治する豊里において、誰であろうとこの領域には踏み込むことは許さぬ。ウホウウホウホウホ

はんぺんちくわぶ戦争紀 ~第13話 絵を描いてて「”赤”取って」や、「”青”取って」は”色”付けなくても伝わるけど「”黄”取って」は”色”抜きでは伝わりにくい~

 

今から5時間前、よしきとの戦いが終わり、たかしの村に帰ろうとしていた時―――――

 

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「くそ!何でだ!」みち子(本当は悪役)は手に汗を握りながら、目を血走らせかなり焦っていた。

 

 

 

「なんだよ、、、どうしたっていうんだ?」たかしは腹痛で弱弱しくみち子(本当は悪役)に質問する。

 

 

 

「こいつに魔法を掛けられたからなのか知らないが、私の魔法が発動しないんだ。」みち子(本当は悪役)はたかしのブツまみれになって横に倒れているよしきを指さす。

 

 

 

「なんだよ、、、ここから俺の村まで歩いて何時間掛かると思っているんだ。シャトルバスは一日一本しか出ていないし。」今いるみち子(本当は悪役)の村とたかしの住む村の近辺は田舎だったため交通手段があまりなかった。

 

 

 

「そういえばあの時お前どうやって私のところまで来たんだ?」みち子(本当は悪役)は警察に捕らえられ、たかしが迎えに来てくれた時の事を思い出していた。

 

 

 

「ああ、あれか?なに、難しい事じゃないさ。迷子になったふりをしておまわりさんにお前の村まで送って行ってもらっただけさ。」たかしは何故かしゃんと胸を張り、誇らしく雄々しく、時には女々しく言ってみせた。

 

 

 

「そうか、それならさすがにもう警察のお世話になるわけにはいかないからな。早くお前の村に戻ってこいつに聞きたいことがあるんだが、、、、」みち子(本当は悪役)はよしきを汚らしいものを見るような目で見る。

 

 

 

「普通に歩いて行っても5時間近く掛かるぞ、、、、、、、、。そこで俺から提案があるんだが。」たかしはお腹を押さえながら俄然興奮気味でみち子(本当は悪役)に話しかける。

 

 

 

「な、なんだ?」みち子(本当は悪役)は気味悪そうにたかしを見る。

 

 

 

「みち子、お前の髪を俺にくれ」

 

 

 

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みち子(本当は悪役)は相当悩んだ。

 

これまでに何度も たかし からこの手の嫌がらせを受けてきたが、その度に何度も断ってきた。

 

だが今回は早くこの魔法を使えない状況を打破しなければいけない気がした。

 

そのためには一刻も早く、よしきの村、もといたかしの村に行き、よしきの親や村長によしきの魔法について聞く必要があると考えていた。

 

だが今、みち子(本当は悪役)は自分の村に居る。たかしの村に行くのに歩いて向かうにはかなり遠い。

 

何かいい方法はないか考えていたところ、たかしの口からまたあの言葉が出てくる。

 

「「お前の髪を俺にくれ」」

 

みち子(本当は悪役)は本当に悩んだ。この世に生れ落ちて一番悩んだ出来事に値する。

 

だがこんなことで悩んでいては世界は救えない。

 

 

いや、でも嫌だ。

 

 

なんであんな気持ち悪いおじさんに自分の髪の毛を渡さなければいけないのか。

 

その毛でだんごを作り、少なからず自分のDNAがたかしの体内に取り込まれる。と、考えただけで虫唾が走り抜けていった。

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と、こんな感じで約5時間悩んだ末にみち子(本当は悪役)は決心した。

 

 

 

「お前に私の魔法が扱えるかな?」みち子(本当は悪役)は無理やり笑顔を見せながらたかしに自分の髪の毛を渡した。

 

 

 

「う、うむ。まあ、今はこれしか方法は無いからな。」たかしはまさか交渉が成立するとは思っていなかった。興奮しているのがみち子(本当は悪役)にばれないように冷静を装って髪の毛を受け取る。

 

そして“だんご”を作る。

 

 

 

「たかし、お前には何度も私の魔法を見せてきたが、今一度私の魔法について説明する。」こう言いながら、みち子(本当は悪役)は手のひらほどの大きさの“ある物”を取り出す。

 

 

 

「おお!やっぱり何度見ても興奮するなぁ!図魔法(すまほ)!」たかしはさらに興奮した。

 

 

 

「私の魔法は、この“図魔法(すまほ)”を使い行きたいところへ、どこにでもすぐに行ける、という魔法だ。使い方は、、、、わかるな?」

 

 

 

「ああ、わかる。さて、じゃあ、いただきますか。」たかしはみち子(本当は悪役)の“毛”から作った“だんご”を食べる。

 

 

もぐもぐもぐ、、、、、ごくん!

 

 

 みち子(本当は悪役)は頭を抱えながらこう思った

(うわあぁぁぁぁぁぁぁ、私の“毛”食べられちゃったーーーーーーー!きもぉぉぉぉぉぉぉぉぉい!)

みち子(本当は悪役)は心に深い傷を負った。

 

 

 

「っっっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」たかしは“だんご”を食べた瞬間、内から強大な力が沸き上がるのが分かった。そして、、、、、、、、

 

 

 

「どうしたたかし?」みち子(本当は悪役)は早く村まで連れて行けと言わんばかりの口調でたかしに言う。

 

 

 

そしてたかしはみち子(本当は悪役)を見ながら驚き、言葉を失い呆然としていた。

 

こんな子にこれほどまでの力があるのか、とみち子(本当は悪役)の魔法の力に驚き一瞬体の動きと思考が止まった。

 

実はたかしにはみち子(本当は悪役)に隠していたことがあった、、、、、、、、、、

 

 

 

「おい!早く村に帰るぞ!」みち子(本当は悪役)は機嫌がかなり悪くなっていた。

 

 

 

「お、おう!そうだな!」たかしはみち子(本当は悪役)の“魔法”を使う。みち子(本当は悪役)の”使っていた魔法”をそのままに。

 

▼▼▼

 

といった感じでたかし達はたかしの村に来ていた。

 

先程みち子(本当は悪役)に言われた通り、たかしはみち子(本当は悪役)を村長の所に案内した。

 

 

 

「村長久しぶり!俺だよおれおれ!」たかしは村長にオレオレ詐欺まがいの事をしでかした。

 

 

 

「ああ、たかしか。さっきお前の母ちゃんが来てたところだ。」村長はしがれた声で返す。そしてたかしの後ろに居るみち子(本当は悪役)に気が付く。

 

 

 

「あの、はじめまして。私、隣の村の みち子 といいます。

いきなりの質問で恐縮ですが、この村出身のよしきさんという人の魔法について伺いたくて、、、、」みち子(本当は悪役)は村長に聞く。

 

 

 

「よしき、、、、ああ、あのよしきか。覚えとるよ。あやつに“愛付利(あぷり)”を掛けたのはワシじゃからな。」しがれた声で村長は言う。

 

“愛付利(あぷり)”とは、村長が扱える魔法の一つ。

たかしの村では、とういかこの世界では20歳を迎えると、“愛付利”を掛けられ個人個人が持つ遺伝や性格による潜在能力を引き出し、魔法が使えるようになる。

基本的にどの村の村長も”愛付利”は使える。

 

 

 

「あやつの魔法は確か、“手がアイロンになる”魔法じゃったかな。あやつは家がクリーニング屋さんでのぅ、、、、、、、、、」村長は懐かしみながら話していると。

 

 

 

「そんなはずがない!」みち子(本当は悪役)が大きな声をあげた。そして我に返る。

 

 

 

「すまない村長、今みち子は訳ありで魔法が使えなくなってしまったんだ。そのよしきに掛けられた魔法のせいで。俺の目から見ても、どうもアイロンでどうこうしてたようには見えないんだが、、、、、、」たかしはお腹をさすりながら言った。

 

 

 

「それは真か、、、、、、、、、、、。」村長はみち子(本当は悪役)を見つめ、しがれた声で静かに言う。

 

 

 

「本当です。私の村でも魔法が使えるようになるには20歳を迎えてからでした。

でも私は生まれた時から魔法が使えました。私にとっては魔法とは体の一部といっても過言はありません。それが使えないとなると不安で不安で、、、、、、。」みち子(本当は悪役)は小さな声で言ってやった。

 

 

 

「そうか、、、、、、、、、、。おぬしはんぺん屋の者か。」村長はここにきて一番のしがれた声を出した。

 

 

 

  「、、、、、、、、、、、!」みち子(本当は悪役)は何故バレたか分からなかった。

 

 

 

「そ、それはちがうぞ村長!みち子はだなぁ、、、、、」たかしがみち子(本当は悪役)の素性を隠そうとすると。

 

 

 

「隠さなくてもええ。生まれながら魔法を扱えるのは、神に呪われた悪魔の一族であるはんぺん一族しかおらん。」村長はたかしに何となく怒鳴った。

 

 

 

「、、、、、、、、、、、、、、」みち子(本当は悪役)は下を向き黙っていた。

 

 

 

「みち子さんや、、、、、、、、おぬしはいったい何を企んどる、、、、、、、、、、?」村長はみち子(本当は悪役)の事をなにか怖いものを見るような目で見ていた。

 

 

つづく