とよさとっこのこうかんにっき

我々が統治する豊里において、誰であろうとこの領域には踏み込むことは許さぬ。ウホウウホウホウホ

はんぺんちくわぶ戦争紀 ~第14話 雨が降り出すときの匂い好きなんだよね~って言うやつは大体おばあちゃんっ子~

 

 

「おいおい村長、みち子が何か企んでるだって?冗談は顔だけにしてくれよ!

何を隠そう、俺とみち子は世界を救おうとしているんだぜ!」たかしは村長が聞きやすいように程よく低めだが甘さを効かせた声で言ってあげた。

 

 

 

「世界を救う、、、、、、?いったい何からじゃ?」村長は世界征服を企んでいた たかし の事が嫌いだった。

 

 

 

「おいたかし!あまり喋りすぎるな!」みち子(本当は悪役)は村長の耳に耳栓を付けようとしたその刹那。

 

 

 

「村長、、、、。今、村の若い子達には執拗なまでに“はんぺん”の歴史を教えまいとしているよな。

それは“はんぺん”がこれまでにしてきた残虐な蹂躙、圧倒的な力による征服、お相撲さん体系の人による制圧、はんぺんの思想に陶酔した者達の徹底的な駆逐、美白主義の潔癖症隊員による掃討、、、、、、、“はんぺん”による絶対王政を繰り返させない為、、、、。

“はんぺん”のその思想を今の若い子たちに植え付けないためだとしているけど、、、、、、。」たかしは似た意味の言葉を巧みに使い分け、村長に耳栓ではなく、少しお洒落なヘッドホンを付けてあげた。

 

 

 

が、村長は両手で丁寧に静かにヘッドホンを外し、みち子(本当は悪役)から貰った耳栓を付けた。

 

 

 

「あんたは“はんぺん”に怯えているだけなんじゃないのか?

“はんぺん”は遠い昔、当時その圧倒的な力で世界を侵略していたというが、それは本当なのか?」たかしは何かを思い出しながら聞く。

 

 

 

「何を言っている、、、、、?我々が“はんぺん”を、、、、、その娘を恐れているとでも言いたいのか?」村長は昔ハローワークで働いていた名残で、お昼ご飯のおかずにいつもひじきが入っていた。

 

 

 

「我々ってことは、、、、、やっぱり他の村の村長も、、、、か。」たかしは名探偵気分だった。

 

 

 

「たかし!どういうことだ?」みち子(本当は悪役)は話についていけてなかった。

 

 

 

「つまり、村長たちは“はんぺん”の本当の歴史について少なからず何か知っているってことだ。俺たちが聞いてきた歴史とは別の、、、、、、。」たかしはまだ名探偵気分だった。

 

 

 

「、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、。」村長はしがれた雰囲気で黙る。

 

 

 

「おい!何か言ったらどうだ!本当の事を教えてくれ!」みち子(本当は悪役)は村長の耳栓を外し、耳元で大きな声で囁く。

 

 

 

すると村長の後ろにある扉が開く。

 

 

 

ガラガラガラガラガラッ!ピシャッ!

 

 

 

「!!!!、、、、、、、、、、、、、、なんだよばばあ、帰ってなかったのか。」たかしはいきなり現れたよし子に少なからず動揺した。

 

 

 

「なんだ?誰だ?」みち子(本当は悪役)はたかしの胸ぐらをつかみ聞く。

 

 

 

「お、俺の母ちゃんだよ。」たかしはみち子(本当は悪役)にビビりつつ答える。

 

 

 

「これは失礼、、、、、、。たかしさんのお母さんでしたか。私は隣の村に住む みち子 といいます。」みち子(本当は悪役)は咄嗟につばを吐いて、たかしの胸ぐらを離し何とかごまかした。

 

 

 

「ごめんねいきなり。後ろで話聞いてたわ。、、、、、、、たかし、あんた、、、、、。お父さんの事気にならないかい?」よし子は意を決した様子でたかしに聞いた。

 

 

 

「今更なんだよ。俺はその人の事をあまり覚えていないし、今は”はんぺん”の本当の歴史を聞いてんだ、邪魔するなよ。それに聞いたところで、、、、、、、。」たかしは急にトイレに行きたくなったので、本当は聞きたかったが、断った。

 

 

 

「おいたかし、何か大事な話かもしれないだろ!聞いとけよ!」みち子(本当は悪役)は小声でたかしに言う。

 

 

 

「いや、今お腹が痛くて、漏れそうなんだよ、、、、。」たかしは顔色がピンチだった。

 

 

 

「あんたのお父さんはねぇ――」するとよし子はたかしの返答を無視して続けた。

 

 

 

「おい、待て。まだワシはたかしとこの娘の事を信じちゃおらん。いくらあの“言い伝え”があろうと、この2人が何をするか分からん。、、、、、、、、、それにまだこの二人には早すぎる。」村長がよし子の話を遮る。

 

 

 

「いいえ、私は信じますよ。それに“強大すぎる力”もきっとこの2人なら世界を“破滅”ではなく、“平和”に導いてくれるはず。」よし子はせっかくなので村独特の訛りで喋ってみた。

 

 

 

「なぜ、そう言い切れる?」村長は言葉巧みに返す。

 

 

 よし子は目を閉じて、、、

「たかしは ダメ で クズ で ニート で おっさん で ロリコン だけど―――」

 

 

 

みち子(本当は悪役)はよし子の言う言葉を頷きながら聞く。

 

 

 目を開き、、、、、

「―――みち子ちゃんに会ってから変わった気がするの。毎日が楽しそうで、何やら毎日魔法の練習していて、でもずっとトイレに籠っていたり、、、、、、。たかしはお父さんによく似ているわ、、、、、、、。」よし子は全く別の事を思い出しながら話していた。

 

 

 

「奴は最高の魔法使いじゃった。だが今はもう、、、、、。」村長はたかしをちらりと見て、たかしのお父さんとは似ても似つかないと思っていた。

 

 

 

「おいおいおいおいおい!昔話なんか良いから早く話を聞かせてくれよ。どうせろくに覚えていない人の事だ。

今は“はんぺん”の歴史と、その敵について。世界の救い方を教えてくれよ。」たかしは腹痛の波が治まったので強気だった。

 

 

 

よし子は村長の方を見る。

 

 

 

「、、、、、、、、、、、、好きにせい。」村長は奥の部屋に行く。

 

 

 

「これはきっとみち子ちゃんにとっても大事な話よ。たかし、あなたのお父さんはね“痛心誓言”を掛けられた最強の魔法使いだったのよ。」

 

 

たかしはこの時、”痛心誓言”を掛けられた父を不憫に思ったという。

 

 

つづく