とよさとっこのこうかんにっき

我々が統治する豊里において、誰であろうとこの領域には踏み込むことは許さぬ。ウホウウホウホウホ

はんぺんちくわぶ戦争紀 ~第11話 新しくノートを買ったとき、最初の一ページ目だけ丁寧に書く~

 

 

総帥は5Gに力を分け与えると、暇そうにしている一人の青年に声を掛けた。

「君、名前は?」

 

 

 

「よしき。」彼はみち子(本当は悪役)にシカトされショックを受け、その影響で歯が抜けてしまった、元みち子(本当は悪役)のファンである。今はみち子(本当は悪役)に強い敵意を抱いている。

 

 

 

「今、私のかわいい5人の部下たちが眠りについてしまってね。代わりに君にこの子を探してきてほしいんだが、、、、、、、、、。」総帥はみち子(本当は悪役)の写真をよしきに見せる。

 

 

 

「、、、、、、、、、、、。報酬は?」よしきは名前を教えたにもかかわらず、名前を呼んでくれなかったことに強いファンタジアを感じた。

 

 

 

「君の願いをなんでもかなえてあげよう。」

 

 

 

よしきはお小遣いをもらった感覚でみち子(本当は悪役)を探しに行った。

 

 

 

 

 

▼▼▼

 

 

 

「おいおいおいおいおい、まてまてまてまてまて。、、、、、、、、、、、、、、、、、、それは本当かみち子。」たかしは驚きを隠せない様子でおしっこを3リットル程垂れ流していた。これはたかしの自己新記録である。自己記録更新の瞬間である。

 

 

 

「すまない。隠すつもりはなかったんだが。このことはあまり人に知られたくなくてな。」みち子(本当は悪役)はたかしに初めて謝った。

 

 

 

わたるはみち子(本当は悪役)が何を言っているのかちんぷんかんぷんでした。

 

 

 

「みち子が“あの”はんぺん一族かー。こりゃとんでもないことだ。」たかしはヒステリックに叫ぶ。

 

 

 

「おい!さっきからなんなんだ!“はんぺん”ってなんだ!その一族?は何かしたっていうのか!?」わたるは途中声が裏返って恥ずかしくなった。

 

 

 

みち子(本当は悪役)は答えづらそうに下を向き、そのまま寝ようとした。

 

 

 

「まあなんだ。みち子、とりあえずは安心しろ。今の若い子達には“はんぺん”については何も教えられていない。少なくとも俺たちの村ではな。」たかしは昔村長たちが話していた話を思い出す。

 

 

 

「じゃあ、わたるは何も知らないのか。」みち子(本当は悪役)は鳩が豆鉄砲を食ったような表情をして言った。

 

 

 

「なんだよ隠すのか!俺にも知る権利があるだろう!」わたるは自分の腕を剣に変え構えた。

 

 

 

「まあまあ待ちたまえわたる君。これはみち子にとっても言いにくい事だろうから、、、、。」たかしはみち子(本当は悪役)を気遣いわたるを御す。。

 

 

 

みち子(本当は悪役)はたかしの助言を無視し、わたるに話し始めた。

 

 

 

「私の一族は悪魔の一族って言われているの。

遠い昔にある人たちにとても悪いことをしたみたいでね―――――」

 

 

 

 

 

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その昔おでん村という村がありました。

 

おでん村には、『はんぺん』、『かまぼこ』、『ちくわ』、『なると』、『いわしだんご』、『さつまあげ』、そして『ちくわぶ』という7つの一族が暮らしていました。

 

おでん村はとても平和で他の村からも、『おでん村はいつもみんなニコニコしていてきもち悪いな』と言わしめるほどでした。

 

なかでも村の内外から人気があったのが『はんぺん』一族である。『はんぺん』には力もあり村の皆も『はんぺん』の思想に染められていくのでした。

 

『はんぺん』一族はその人気を良い事に、村の皆にある大胆な提案をしました。

 

『『よし、ちくわぶを仲間はずれにしよう!』』

 

当時の『はんぺん』の頭首は、自分たちとは異形を成している『ちくわぶ』一族が気に入らなかったのです。

 

この言葉に強い共感を得た他の一族は『はんぺん』に協力し、『ちくわぶ』を仲間はずれにすることにしました。

 

そして『はんぺん』は気を良くし、まずは手始めにおでん村の協力してくれた仲間たちをもひれ伏させ、その強大な力で世界を征服しようと試みたのです。

 

 

 

しかしこのことを神様は黙っていませんでした。

 

 

 

神様は悪事を働いた『はんぺん』に天罰を与えるべく、『ちくわぶ』に世界を救うようにと、力を与えました。

 

そして見事に彼らは『はんぺん』による世界征服を止めることに成功し、世界から『おでん村の小麦屋』と呼ばれるようになりました。

 

その後『ちくわぶ』は、『かまぼこ』、『ちくわ』、『なると』、『いわしだんご』、『さつまあげ』の一族を持ち前の あざとさ でまとめあげ、6つの一族で平等で差別のない平和な村を築いていきました。

 

神から見離された悪魔の一族 『はんぺん』 は遠い小さな村で細々と暮らしていくのでした。

 

 

『おでんの具材は魚の練り物にかぎる』より一部抜粋

 

 

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「なんだそのひどい話。お前そんな奴だったのか!」わたるは泣きながらみち子(本当は悪役)に剣を向ける。

 

 

 

「この話を聞いた時私は信じられなかった。私のご先祖様がこんなことをしていたなんて。だからまたこんなことが起きないようにするのが私の役目だと言われていた。

だから4年前数子さんに、この世に大変なある事が起きるって言われたとき、私が何とかしないとって、、、、、でも一人では何も出来ないから仲間を探していたの。」みち子(本当は悪役)は筋肉痛で動けなかった。

 

 

 

「それがこのおっさんかよ、、、、、、、、。」わたるは頼りないたかしを見て決心した。

 

 

 

「俺も仲間になってやる。一緒に世界征服を止めよう。」わたるのこの一言にたかしは、みち子(本当は悪役)を求め、たかしとわたるの恋の三角関係が始まることを覚悟した。

 

 

 

パリィィィィィィィィィィィィィン!!!!!!

 

 

 

「「「!!!!!!!!!!!!」」」3人はめちゃくちゃ驚いたのである。

 

 

 

いきなりカフェの窓ガラスが割れて男が入って来るや否や、みち子(本当は悪役)のところにやってくる。

 

 

「おまえみち子だよな!探したぞぉぉぉぉぉぉ。」

 

 

 

たかしは早くも恋の四角関係が始まることを覚悟し始めていた。

 

 

 

つづく